ランチェスターの法則、ランチェスター戦略の理論とは。ランチェスター戦略コンサルタント・福永雅文が、わかりやすく解説します

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ランチェスター戦略の理論

1.弱者と強者

 ランチェスター第一法則から弱者の戦略、第二法則から強者の戦略が導きだされました。

 ここでいう強者とは市場地位が1位のものです。それ以外は2位であっても弱者であると定義します。市場地位ですから、地域・商品・流通(販路)・顧客の市場単位でとらえます。ですから企業規模が大きいものが強者とは限りません。市場ごとに弱者と強者の立場は入れ替わります。

 このように細分化して捉える理由は弱者と強者、この二つの立場のものの戦い方が全く異なるからです。すなわち弱者の基本戦略は差別化戦略。強者の戦略は同質化(ランチェスター戦略ではこれをミート戦略という)。そして弱者・強者にはそれぞれ5つの代表的な戦い方があります。これを5大戦法といいます。

弱者

 

強者

差別化戦略

基本戦略

ミート戦略

一点集中主義

主義(商品戦略)

総合主義(物量戦

局地戦

地域戦略

広域戦

接近戦

流通戦略

遠隔戦

一騎討ち戦

顧客戦略

確率戦

陽動戦

戦法

誘導戦


2.マーケットシェア理論

 市場地位はマーケットシェア(市場占有率、占拠率)で判断します。故田岡信夫先生は、マーケットシェアは何%とるのがよいのか、その目標値を設定しました。ランチェスター戦略方程式を統計の専門家である斧田太公望先生と解析して導きだしたのです。7つのシェアのシンボル目標数値です。

現在の自社のシェアはどの段階なのか、そして短期・中期・長期にはどこまで伸ばしていくのか、現状分析と目標設定に活用します。

シェア

目標値

意味

73.9

上限目標値

独占的となり、その地位は絶対的に安全となる。
ただし、一社独占は必ずしも安全とはいえない。

41.7

安定目標値

地位が圧倒的に有利となり立場が安定する40%
は首位独走の条件として多くの企業の目標値。

26.1

下限目標値

トップの地位に立つことができる強者の最低条件。
安定不安定の境目。これを下回ると1位であっても、
その地位は安定しない。

19.3

上位目標値

ドングリの背比べ状態の中で上位グループに入れる。
弱者の中の強者。26.1×73.9

10.9

影響目標値

市場全体に影響を与えるようになり、シェア争いに
本格参入。10%足がかり。26.1×41.7

6.8

存在目標値

競合者に存在を認められるが、市場への影響力はない。これ未満を撤退の基準として使われる場合もある。 26.1×26.1

2.8

拠点目標値

存在価値はないに等しいが、橋頭堡となりうる。
2.8%までは市場参入戦略を適用。2.8%から
競争戦略を適用。6.8×41.7

*上位3つはランチェスター戦略方程式を解析して導き出しました。
*下位4つは上位3つから導き出しました(下線部がその計算式)。

 シェアの差は下位に対してどこまでつけると安全圏なのか、上位との差をどこまでつめれば逆転可能になるのか。これを射程距離理論といいます。客内の単品でのシェア争い、地域では町丁目単位の戦い、二社間競合の場合は一騎討ち型となるので3倍差、それ以外は確率戦型になるので√3倍差(約1.7倍差)が射程距離です。敵の3倍の力で戦えば必ず勝てる3:1(サンイチ)の法則から導き出されました。


3.3つのグランドルール

 販売目標にゴールを設定するなら、それは1位でかつ2位を射程距離圏外に引き離したダントツの1位(これをナンバーワンと呼ぶ)になること。これがランチェスター戦略の結論です。第1のルールのナンバーワン主義です。

そのため弱者は事業領域を細分化し、勝ち易い地域、流通(販路)、顧客、商品を設定し、そこに経営資源を重点投入します。これを一点集中主義といいます。2つめのルールです。

 3つめのルールは「足下の敵(そっかのてき)」攻撃の原則です。成熟市場において売上を伸ばそうとするなら、それは競合他社から売上を奪うことに他なりません。では、誰から奪うのが望ましいのか。それは1ランク下のライバル(=足下の敵)です。なぜなら、自社より強い敵と全面対決しては体力に劣る自社が不利だからです。狙うべきは勝ち易い敵です。しかも1ランク下からシェアを奪えば、自社が伸びるうえに敵が下がりますから差が倍つきます。足下の敵を射程距離圏外にし自社が安全圏となります。



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