ランチェスターの法則とは何か、どのように学ぶべきか、実践するとどうなるのか。ランチェスター戦略コンサルタントが解りやすく解説します。

このブログは当社代表の福永が、コンサルティング活動をするなかで、感じたこと、考えたこと、学んだことを書いていきます。お手伝いしている企業の成果を上げていくためのコンサルタントの頭の中身、いわば「ネタ帳」です。結果として、ランチェスター戦略理論と、その実効性を強化することになります。お役に立てば幸いです。


弱者がミートしてよい場合

  2016年08月24日


弱者の基本戦略は差別化である。強者の基本戦略はミート(弱者の差別化を無効化する模倣など)である。
弱者なのに強者のマネをして勝ったためしはない。
ランチェスター戦略の大原則である。ただし、「原則」とは多くの場合に当てはまる決まりであり、例外がある。
弱者がミートしてよいときが二つある。

コトラーとランチェスター~二つの競争地位戦略~

ランチェスター戦略を確立した故田岡信夫先生が「弱者の戦略、強者の戦略」を提唱したのは1972年。その8年後の1980年に「近代マーケティングの父」ともいわれるフィリップ・コトラー教授は「競争地位戦略」を提唱する。

田岡先生の競争地位戦略は「弱者、強者」の二元論であるのに対して、コトラー教授のは「リーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワー」の四像限で区分している。
「弱者、強者」は市場ごとのシェアで判定するのに対して、「リーダー・・・」は、業界内の規模で判定している。

このように区分法は異なるが、おおよそ、強者≒リーダー、弱者≒チャレンジャー、ニッチャーと、整理できる。

では、フォロワーは?

フォロワーの「模倣追随戦略」

コトラー教授は、業界内で、量的に質的にも経営資源の乏しい企業をフォロワーと呼ぶ。
経営資源の乏しいフォロワーはリスクの高い先発は避け、先発した企業の製品が売れそうだと判断したら、迅速に模倣した製品を追随して製造し、先発製品よりも安い普及版・大衆版として発売する。
開発コストも少なく済み、一定の販売量が見込まれるので、低価格でも一定の利益が出る「模倣追随戦略」である。
決して勝てるわけではないが、したたかに生き残ることのできる戦略である。

「模倣追随戦略」は、先発製品が売れそうだと判断したときに成立する戦略である。
したがって、市場の成長期に限定される戦略である。
つまり、市場の成長期は弱者が先発強者にミートする手があるということ。
先発品が売れなくなると模倣品も売れなくなるので、タイミング勝負である。
決して勝てるわけではない。これが、弱者がミートしてよい一つ目である。

フォロワーの戦略の限界

フォロワーの戦略には限界がある。

第一に、前述の通り、決して勝てるわけではないこと。

第二に、これが通用する時期は短いこと。
二匹目のドジョウ、三匹目の・・・と、次々と模倣品が登場すると、何らかの差をつけないと叩き売られることになる。
模倣が通用する時期は短く、すぐに差別化に取り組まねばならない。

第三に、いま国内市場全体に成熟化しており、ヒット商品が出づらくなっており、製品寿命も短い。
倣対象が少なく、模倣期間も短縮化されている。

このように、フォロワーの戦略には限界があり、成長期における弱者の模倣戦略を私(福永)は、あまりお奨めしない。

「足下の敵」攻撃の原則

二つ目の弱者がミートしてよいときは、ランチェスター戦略の3つの結論の一つ「足下(そっか)の敵」攻撃の原則である。
足下とはシェアが1ランク下位企業である。1位であれば2位、2位であれば3位のこと。

この原則は成熟期以降に、その重要性が増す。成長期は市場を拡大させていくことが同業者の共通利益であり、伸び代があるので、奪い合いという意味合いは薄い。
しかし、市場が横ばいや縮小する成熟期以降に、わが社の売上・シェアを増やすには、ライバルから奪うということを考えざるをえない。

成熟期以降に、わが社の売上・シェアを増やすには、ライバルから奪うことになる。
では、どのライバルから取るべきなのか。
ランチェスター戦略では「足下の敵」から奪うことを原則とするよう指導している。

下位企業から奪う際に、下位企業にミートしていくことが原則となる。
ただし、上位からミートされる立場であることを忘れてはならない。
「足下の敵」攻撃の原則については、拙著で事例を交えて解説しているので、参照されたい。

結論

1 成長期には弱者が先発強者にミートしてもよい時期が少しあるが(フォロワーの模倣追随戦略という)、限定的である

2 成熟期には弱者が下位の企業にミートしてもよい(「足下の敵」攻撃の原則という)が、上位からミートされることも忘れてはならない