ランチェスターの法則とは何か、どのように学ぶべきか、実践するとどうなるのか。ランチェスター戦略コンサルタントが解りやすく解説します。

このブログは当社代表の福永が、コンサルティング活動をするなかで、感じたこと、考えたこと、学んだことを書いていきます。お手伝いしている企業の成果を上げていくためのコンサルタントの頭の中身、いわば「ネタ帳」です。結果として、ランチェスター戦略理論と、その実効性を強化することになります。お役に立てば幸いです。


「ヤンキーの虎」に多角化を学べ

  2016年06月17日


20150630「ヤンキーの虎―新・ジモト経済の支配者たち」

面白いタイトルにひかれ、読んだ。
ネーミングや、キャッチコピーは大切。

著者はファンドマネジャーで全国の多くの起業家を知るという藤野英人氏。

「ヤンキーの虎」とはローカル・コングロマリット

氏は日本には「ベンチャーの虎」と「ヤンキーの虎」の二種の起業家がいると主張。
ベンチャーの虎は、主に都市部でインターネットやITなどをベースに新しいビジネスモデルを考えて、高成長しながら日本だけにとどまらず、世界に飛び出そうとしている起業家と定義。

これに対して、ヤンキーの虎は地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット化(様々な業種・業態に参入している企業体、ローカル・コングロマリットと呼びたい)している、地方土着の企業。 あるいは起業家と定義。

本書は、ヤンキーの虎に着目し、地方経済の主役になってきた背景からひもとき、その特徴、そして未来の展望までが語られる。 私(福永)が、同書を面白く感じたことを三点挙げたい。

縮小する地方市場にチャンスあり

一つは、「縮小する地方市場にチャンスあり」。 地方市場は縮小している。
だからビジネスチャンスが乏しいと見られがちだが、ヤンキーの虎は、そうは見ない。

市場縮小と、それに伴う後継者難は

①市場から退出するプレイヤー(供給者)が増える
・地元企業の廃業や倒産
・全国区企業のブランチの撤退

②退出しないが、新しいことは何もしない保守的なプレイヤーが増える
⇒退出プレイヤーの顧客を奪う「残存者利益」が得られリスクをとってチャレンジすれば勝ちやすい 縮小している地方市場は生き馬の目を抜く都会市場よりも競争がゆるやかである。
ここにチャンスを見出せる。

また、全体的には縮小しているが、部分的には伸びている市場もある。
携帯電話販売事業、介護事業、FC事業など。 「縮小のなかの成長」を見出し、チャレンジしたヤンキーの虎が、地方経済の新たな主役となった。

同一地域での多角化戦略

二つ目は、地方企業の成長ベクトルは

①同一事業の全国展開=市場開拓戦略
②同一地域での多角化戦略 の二方向があること。

ユニクロ(山口・広島)、ニトリ(札幌)、JINS(前橋)など、これまで注目されてきたのは
①の市場開拓戦略で成長した企業だったが、ヤンキーの虎はローカル・コングロマリットである。
つまり、②の路線である。

地元の消費者のあらゆる消費支出
(衣、食、住、交通・エネルギー、趣味・娯楽、交際費、教育費、通信、保険・・・)
を取り込もうとするものである。

脈絡のない多角化のように見えるが、地元のお金を地元で回そう、東京に吸い取られないようにする取組みである。

事業を多角化し、経営規模を拡大し、地域の雇用を拡大し、給与は自社グループ内で消費してもらう。
そうなると、さらに給与も増え、納税も増え、さらに経営規模が拡大し・・・ とスパイラル型に発展させる。

結果として、地域経済の活性化となり地方創生が実現する。

同一地域での多角化戦略

三つ目は、ローカル・コングロマリットをいかにして、実現するのか。 次の三点が読みとれた。

①地縁・血縁の地域社会の情報網
②タイムマシン経営 (東京で流行っている業態を地方に導入するなど、流行の時差を利用する経営手法)
③地元を知り尽くした企業が、顧客接点を強化して圧倒的な販売力をもつ

①②も大切だが、③が勘どころのように私は思う。 長くなるので、③については別稿で論じることにする。

以上、
「ヤンキーの虎―新・ジモト経済の支配者たち」
から、学んだことは「地方」という縮小市場こそ、逆にチャンスがあり、それは、ローカル・コングロマリットを目指すことであった。

事業開発、多角化、市場参入に取組む中堅・中小企業と地方創生に興味がある方に、役立つ本と思う。

私(福永)は某地方で若手経営者の定期的な勉強会の講師を長年やっているが、早速、課題図書の一つにしてもらった。