ランチェスター法則とは。ランチェスター戦略コンサルタントが解説。

ランチェスター戦略 用語集

ランチェスター戦略を「わかる」から「できる」ようになるためには、組織を構成する人々が「ランチェスター用語」を駆使して論理的な議論をしていかなければなりません。

ランチェスター用語を正しく使い、共通認識にすることが肝要です。

音楽の楽譜にはルールがあるように、ビジネスにも共通言語をもちましょう。

以下の5分類30項目を共有することをお奨めします。


1.戦略基本編の共通言語

(1)ランチェスター戦略

販売戦略・競争戦略の理論と実務体系。
ランチェスター法則をはじめクープマンモデル、田岡・斧田シェア理論等を基にマーケティング・コンサルタントの故田岡信夫先生(1927~1984)が構築。
1972年、「ランチェスター戦略入門」を著して以降、多くの企業がこれを学び、自社の戦略に取り入れた。
軍事理論のランチェスター法則を戦略思想に据え、経営に応用したことからランチェスター戦略と呼ばれるが、体系づけたのは故田岡先生である。
「田岡理論」「田岡式販売戦略」などと呼ぶほうが誤解はない。
日本オリジナルの競争戦略理論であり、わが国の販売戦略のバイブルといわれる。
市場シェアを判断基準にし、市場地位別の戦い方を指導原理にしている。

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(2)ランチェスター法則

イギリス人の航空工学エンジニアのF.W.ランチェスターが発見した軍事理論。
1916年に著された「戦争における航空機 第四の武器の曙」で普及。
武器と兵力数が戦闘力を定め、敵に与える損害量を決定づける。
一騎討ちの第一法則では戦闘力=武器効率(敵味方の武器性能を比率化したもの)×兵力数。
集団戦の第二法則では戦闘力=武器効率×兵力数の2乗。
後に第一法則から弱者の戦略が、第二法則から強者の戦略が導き出された。

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(3)クープマンモデル

第二次世界大戦のとき、米軍は学者を徴用して作戦研究班を編成し戦争を科学的・数学的に研究させた。
コロンビア大学の数学教授B・O・クープマンらはランチェスター法則に着眼し、これを研究し軍事シミュレーションモデルを開発した。これをクープマンモデルという。
戦力を直接的な戦闘力「戦術力」と、敵軍の後方にある敵国の軍事基地、生産・補給拠点などを攻撃し、敵軍の戦争継続を困難にしてしまう間接的な戦闘力「戦略力」に分ける。
そして、その比率を戦術力1:戦略力2にするとき最も戦力が高まることを方程式で示した。

ランチェスター法則をもとに開発されたことからランチェスター戦略方程式またはランチェスター戦略モデル式と呼ばれてきた。
しかし、これでは誤解を招き、ランチェスター第三法則などといわれることもあるので、クープマンモデルと呼ぶ。
なお、作戦研究(オペレーションズ・リサーチ)は戦後、数学的・統計的な意思決定の方法として学問的に研究され産業界にも広く活用されている。

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(4)田岡・斧田シェア理論

故田岡先生と社会統計学者の斧田大公望先生が1962年にクープマンモデルを解析し導き出した市場シェア3大目標数値。
73.9%上限目標値。41.7%安定目標値。26.1%下限目標値。
クープマン目標値とも呼ばれるが、開発したのは田岡・斧田両先生であり、誤解を招くので3大目標数値を田岡・斧田理論と呼ぶ。
この発見から10年後、(2)(3)(4)等の研究を重ね、故田岡先生が販売戦略・競争戦略の理論と実務体系としてランチェスター戦略を発表するに到る。

福永コメント

(1)(2)(3)(4)の共通言語の整理・再定義は08年11月24日に開催されたランチェスター戦略学会で著者が発表報告したものである。

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(5)弱者と強者

市場シェア1位の企業を強者、それ以外をすべて弱者と呼ぶ。
競合局面ごとに判断する。地域・客層・顧客内・販路内・商品の別に異なる。
経営規模ではないので大企業の弱者、小企業の強者もある。
局面ごとに判断する理由は弱者と強者とでは戦略が180度異なるから。
なお、1位であっても市場シェア26.1%(下限目標値)を下回っている場合は、原則として強者の戦略はとれない。

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(6)弱者の戦略

ランチェスター第一法則「戦闘力=武器効率×兵力数」から導き出された。
武器効率を上げることを「差別化」という。
弱者の基本戦略である。限られた兵力を集中することにより、その局面での兵力優位の状況を作り出すことはできる。
これを「一点集中主義」という。
そのほか、接近戦(顧客に近づくチャネル戦略・営業活動)、局地戦(地域やビジネス領域の限定)、一騎討ち戦(競合数の少ない戦い)、陽動戦(敵の裏をかく奇襲戦法)などがあげられる。

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(7)差別化戦略

弱者の基本戦略。差別化はマーケティングの4P(Product商品、Price価格、Place販売経路、Promotion販促)を基本に考える。

福永コメント

差別化の切り口は様ざまあるが、私は(1)マーケット(①事業領域、②客層) (2)製品・サービス(①製品の性能、②製品の売り方・用途・見た目、③サービス) (3)価格 (4)流通(販売経路) (5)地域 (6)販促(①広報・情報発信・ブランディング、②広告・販促) (7)営業(①営業方法、②顧客満足・ソリューション) (8)理念 の各分野で取り組み、それを3つ程度の切り口で訴求することを提唱している。

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(8)強者の戦略

ランチェスター第二法則「戦闘力=武器効率×兵力数の2乗」から導き出された。
武器効率を同等にすれば兵力数で勝敗が決することから弱者の差別化を封じ込める「ミート(同質化・模倣・二番手)戦略」が基本戦略となる。兵力数が2乗になると弱者を圧倒できるので総合力を活かした集団戦・組織戦で戦う。「総合主義」という。
そのほか、広域戦(地域やビジネス領域の拡大)、遠隔戦(販売会社の力をフル活用、情報発信によるプル型プロモーション・空中戦)、確率戦(自社の力を重複化し弱者のつけ入る隙をなくすフルライン戦略、自社系列内競合)、誘導戦(先手必勝のおびき出し作戦)などがあげられる。

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(9)シェア7つのシンボル目標数値

クープマンモデル(3)から導き出された田岡・斧田シェア理論(4)「73.9%上限目標値。41.7%安定目標値。26.1%下限目標値」の市場シェア3大目標数値だけでは分散型市場の目標値が足らないことから26.1×73.9=19.3%上位目標値、26.1×41.7=10.9%影響目標値、26.1×26.1=6.8%存在目標値、6.8×41.7=2.8%拠点目標値の4つを導き出し、全体で7つの市場シェア目標値を体系化した。
この活用は第一に現在地を確認すること。
第二に短期・中期・長期の目標づくりの判断基準にする。
40%シェア目標の天王山といわれ、トヨタ、日本生命など多くの企業がこれを意識している。
40%を超えると多くの場合、2位を射程圏外に引き離す。

福永コメント

当社調べでは1位が40%を超えると七割強の確率で2位を射程圏外に引き離すナンバーワンとなっている

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(10)射程距離理論

敵の三倍の兵力数で戦えば、まず間違いなく勝てるというサンイチの法則をシェア理論に応用し、敵味方のシェア差がどこまで開けば競争戦略上、逆転が困難になるのかを示す。
ランチェスター第一法則が適用されるライバルが一社の場合と、単品の客内シェアの場合は3倍、それ以外は第二法則的であるので2乗して3倍になる√3倍(約1.7倍)差を射程距離という。
1位シェアが50%、2位シェアが30%のような5:3が射程距離。

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(11)シェアの類型と推移

各社のシェア差からそのパターンを類型化する。
分散型(①1・2位間、2・3位間などの各上下の差が√3以内、②1位≦26.1%)、3強型(①1位≦2位+3位 & 1位~3位間√3以内、②1位+2位+3位≧73.9%)、2強型(①1位≦2位×√3 ②1位+2位≧73.9%)、一人勝ち型(①1位≧2位×√3、②1位≧41.7%)の4類型。

時間の経過とともに勝ち組の数が減り大手寡占、弱小の淘汰が進む。
したがって現在の競争パターンを知ることで今後の傾向を予測できる。
それを踏まえた順位とシェア目標を定めることに活用する。
特に大切なことは敵の設定。
どのライバルから売上・顧客を奪うのかは(14)で。シェアの今後の推移には次のような一般的な傾向がある。
1位極大化、2位ジリ貧、3位漁夫の利・微増、4位以下脱落。シェアの推移という。2位が弱者であると定義する裏づけの一つ。

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(12)No.1主義

ランチェスター戦略の結論。販売目標にゴールを設定するならば、それは2位を圧倒するNo.1である。
ここでいうNo.1は単なる1位ではない。
2位を射程圏外に引き離しているダントツをいう。
射程距離理論を適用し、ライバルが一社の場合と、客内単品シェア差は3倍、それ以外は√3倍差をつけた1位をNo.1という。
2位との差の少ない1位は戦いが終結した安定した状態とはいえないことから1位と区分した。
1位である強者は2位を叩いて、その差を射程圏外に引き離すために、どの顧客を1位商品で攻略するのかに取り組む。
2位以下である弱者は全体的なランクアップではなく、地域に根ざしたビジネスなら地域を限定して1位地域→No.1地域をつくるために、どの顧客を攻略するのかに取り組む。
このように強者と弱者とではNo.1づくりのやり方が異なる。

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(13)一点集中主義

No.1になるためには一点集中しなければならない。
まずはビジネス領域・市場を細分化する。
地域・顧客層・顧客内・商品の別に細分化し、重点化市場を定める。そこに経営資源を集中投入する。
そうすれば、その局面では兵力的な優位を築くことができるので、差別化で武器効率も上げればNo.1になれる。
そうなれば地位は安定し収益性も増し余力が生まれる。
その余力で次なる重点化市場の攻略に取り組む。
各個撃破という。
これを繰り返し、全体でのNo.1を目指す。ランチェスター戦略は多角化や経営規模拡大を否定しているわけではなく、弱者のまま拡大することを戒めている。

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(14)「足下の敵」攻撃の原則

敵の狙い撃ちを重視している。狙い撃つべき敵は誰か。
それは市場シェアが一つ下位の「足下(そっか)の敵(てき)」である。
上位企業と全面対決するのはシェアが拮抗してからのことで、まずは勝ち易きに勝つ。勝ち易いだけなら、さらに下位企業のほうが叩きやすいが、原則として足下の敵を攻撃目標に置いている。
それは足下を叩いて売上を奪えば、自社がシェアアップする分だけ足下の敵がシェアダウンするのでその差が広がり、地位が安定するから。
足下の敵との一騎討ちの場合、自社は二社間では強者なので強者的なミート戦略で足下の差別化を封じ込める。
一つ上位の「頭上(ずじょう)の敵(てき)」は競争目標と位置づけ、全面対決を避けるべく差別化する。
1位であれば直ちに2位の足下の敵を叩いて差を広げNo.1を目指す。
No.1主義、一点集中主義、「足下の敵」攻撃の原則の3つをランチェスター戦略3つの結論という。

福永コメント

かつては「弱い者いじめの原則」といわれていたが、2003年にランチェスター協会で言いかえることにした。

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2.市場参入戦略編の共通言語

(15)グー・パー・チョキ理論

人の寿命のように製品が世に出て消え去るまでにはライフサイクルがある。
一般に導入期・成長期・成熟期・飽和期・減衰期の5期に区分され、期ごとに戦略転換しなければならない。ランチェスター戦略では、これをじゃんけんに例えた「グー・パー・チョキ理論」として市場時期別の戦い方を指導している。
導入期はグーの戦略。握りこぶしを鋭く突き刺すがごとく参入せよ。大手であっても本業が強者であっても新規分野では弱者の戦略で参入するのが原則。
他社の参入があり競争が本格化すれば成長期が訪れる。
成長期はレース型の早いもの勝ち、体力重視の陣取り合戦。手のひらをパーッと広げるがごとくマーケットを鷲摑みしなければならない。
パーの戦略である。商品ライン、販売チャネル、顧客層の拡大が求められるので強者型の戦略で戦うのが原則。
この時期に先発が弱者の戦略のままでいると後発強者にやられてしまう。伸び率が鈍化すれば成長していても成熟とみなし、戦略を転換する。
勝てる分野に集中する。パーッと広がった戦線をチョキっとカットするがごとく生産性を求める。
チョキの戦略である。伸びない市場を奪い合うので、ゼロサムゲームの勝負型競争となる。
ランチェスター戦略は成熟期のチョキの戦い方を前提にしているが、導入期・成長期についてはグー・パーの戦略を使い分ける。

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3.地域戦略編の原理原則

(16)シェアアップ戦略の実務体系

ランチェスター戦略の目的であるシェアアップに取り組むプロセス。営業会社、特にルートセールス型を標準に体系化づけられたものなので、業界によって応用すること。
(1)商圏分析(販売情報・地域情報の収集) 
(2)顧客マップ作成(顧客と競合の地理的把握) 
(3)重点エリアの設定(細分化・平準化・重点化)*以上が地域戦略 
(4)ローラー調査(重点エリア市場総点検活動) 
(5)ランチェスター式ABC分析(カバー率、Aa率、顧客の戦略的格付け) 
(6)シェアアップの戦略策定(目標シェア、戦略シナリオ、ターゲティング、活動計画)*以上がシェアアップ戦略 
(7)戦略実行(活動管理)*以上が営業担当者戦略

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(17)地域戦略の基本方針と重点エリア選定基準

地域を細分化し、重点エリアを設定し、一エリアごとにNo.1(原則として2位に√3倍差をつけた1位)になるまで攻める。
No.1になったら次のNo.1エリアを設定し攻略。
各個撃破を続け地域全体でNo.1を目指すことが基本方針。重点エリアの選定基準は、弱者は勝ち易いエリア、強者は市場性のあるエリア。
弱者のなかでも1位の射程圏外のシェアが極めて低い場合は点の地域、死角・盲点を狙う。1位の射程圏内の場合は市場性も考慮して線の地域、三点攻略法などで戦う。
1位=強者になれば面の地域、市場規模が大きく、成長性が高い、代表性があるエリアを重点化する。
No.1になれば、およそそういう地域は押さえられているはずなので、弱い地域をテコイレしていく。

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(18)市場構造「点・線・面」

地域を定量的にとらえるのみならず、地形・歴史・土地柄など定性的にとらえることが大切。
なかでも商圏の広がりを点・線・面の構造で区分する市場構造と、土地柄(住民気質)をうちもの・そともので区分する市場体質が重要。
点とは盆地や島・半島のような他地域と分断された狭い商圏。線とは街道・航路沿い、鉄道沿線など他地域と結びつく線域商圏。
面とは大都市・平野部の面的な広がりをみせる連動商圏。弱者は点→線→面の順に攻略するのが原則。
強者は面重視。

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(19)市場体質「うちもの・そともの」

うちものとは古い城下町・旧市街地・郡部農村など、土着型で人の出入りが少ない閉鎖的な地域。
そとものとは宿場町・寄港地・工業地帯・ニュータウンなど人の出入りが多い開放的な地域。
うちものは排他的なので参入しづらい。
が、参入してしまえば地域で認められたことになり、シェアは集中し安定する。
そとものは開放的なので参入しやすい。が、参入が相次ぐのでシェアは分散し安定しない。
一般によそもの地域は市場規模・成長性が高いので強者向き。弱者は体力勝負の消耗戦になりがちな、そともの地域よりもうちもの地域を狙うべき。

福永コメント

かつては「そともの」のことを「よそもの」と言っていたが、2015年にランチェスター協会で言いかえることにした。

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(20)三点攻略法

地域攻略のノウハウ。
特に弱者が面の地域を攻略するときに有効。
存在感のない弱者が地域の最大需要地をいきなり攻めても消耗戦に巻き込まれ攻略は困難。
そこで、周辺から攻略する。第一の点(重点エリア)を設定しNo.1になるまで攻略。
第二の点を設定し攻略。すると第一と第二の点が線状に自社の地盤化する。
第三の点を設定し攻略。第二・第三、第三・第一が線状に地盤化。
すると第一・第二・第三の点が線となり面となる。
最後に三方から最大需要地を攻略し、この地域全体の攻略を成し遂げる。
戦争の地域攻略法を応用したやり方。

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4.シェアアップ戦略編の共通言語

(21)ローラー調査

重点エリアの全顧客(未取引先も含む)を訪問面談し、販売エリアと顧客の実態を正確に詳細に把握し、シェアアップの戦略シナリオと攻略ターゲット顧客を定めるための市場総点検活動。
各顧客の需要と自社と競合社のシェアを調べる。
プレセールスであり顧客管理活動。
調査というのは調査目的で訪問面談することで売込臭を薄めることこそが成功の秘訣だから。
店舗型ビジネスの場合は、既存顧客分析、来店客調査から地域や顧客を格付けすることに取り組む。

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(22)ランチェスター式ABC分析

ローラー調査または顧客情報から、顧客を格付け、シェアアップの目標と戦略シナリオ、攻略ターゲット顧客を定めるための分析。
一般に顧客のABC分析は自社の売上ランクで行うが、ランチェスター式では顧客の需要規模でABC(大中小)を、自社の客内シェアでabcd(強並弱・未取引先)を掛け合わせて12通りに格付けを行う。
Aは総需要の上位70%未満の顧客、Bは70~95%未満の顧客、Cは残りの顧客。
aは自社がNo.1(単品の場合3倍)のいわば自社系列顧客、bはどの会社もNo.1でない顧客、cは他社がNo.1の他社系列顧客、dは未取引先。この分析から(22・23・24・25)を行い、シェアアップの目標、戦略シナリオ、ターゲティング、行動計画を策定する。

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(23)顧客の戦略的格付け

ABC分析の格に応じた攻撃の方針と攻撃の量を定める。
最重要顧客はAaであり、これを守る先とする。
Aa候補が次に重要。短期的にはAbの1位先などから選ぶ。
Ab、Ac、Bbが攻める先、自社がNo.1のBa、Caは客先繁盛支援をする育てる先で、Baのなかから中期的なAa候補を育成する。
AdとBdの上位先のなかから新規開拓候補を選定。
ほかは成り行きで。Ccはフェードアウトさせるべき。
攻撃量については次の通り。
重要なAa、Ab、BaをAクラスし、攻撃量を一回当たり長時間×高頻度。中位のAc、Bb、CaをBクラスとし、中時間×中頻度。
新規開拓候補先のAd、Bdの上位は新規開拓の重要度に応じて判断するがBクラス並が一般的(Bdの下位とCdは原則として新規開拓候補としない)重要でないBc、Cb、CcをCクラスとし、短時間×低頻度。

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(24)カバー率

カバー率=取引客数/全対象顧客数×100。取引先の中でもスリープ先および客内シェア5%未満先は、一般に取引客には含まない。
市場シェアの量的構造を示す。
成長市場で重要な強者にとって大切な判断基準。取引店率、取扱店率、カバレッジともいう。

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(25)Aa率

Aa率=Aa客数/Aグループ客数×100。AグループとはAa・Ab・Ac・Adのこと。需要の70%を占める。AaとはAグループのなかで自社がNo.1供給者である顧客。AグループになかでAaがある割合をAa率という。市場シェアの質的な構造を示す。成熟市場で重要な弱者にとって大切な判断基準。

福永コメント

かつては「Aa率」のことを「Aa店率」と言っていたが、2015年にランチェスター協会で言いかえることにした。

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(26)構造シェア

構造シェア=カバー率+Aa率/2≒市場シェア。
市場シェアを決定づける流通段階のシェア。シェアの流通段階での量的な構造を示すカバー率と質的な構造を示すAa率を足して2で割ったものが実績シェアに近似することから、シェアアップ戦略に活用。
シェアアップに必要なカバー率が新規開拓軒数となり、Aa率がAaづくり先の軒数となるので、数値と顧客名を伴った具体的な戦略シナリオを描くことができる。

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5.営業戦略編

(27)営業担当者攻撃力の法則

営業担当者の攻撃力=営業担当者の質×活動の量。
商談の内容・スキル・情報・モチベーションといった質的な側面と、訪問回数と頻度・滞在時間といった量的な側面で勝敗が決まるということ。
営業が集団戦になれば「営業チームの攻撃力=営業担当者の質×活動の量の2乗」となる。
営業担当者の一騎討ち型の業績はランチェスター第一法則的になり、営業チームの集団戦型の業績はランチェスター第二法則的となる。
チームが情報を共有化しノウハウを伝授しあい役割分担し切磋琢磨していれば相乗効果をあげてその力は2乗倍する。
したがってチームセリングの推進が重要。
質も大切だが量がより大切。質を高める上でも量をこなすことが近道。
また質の管理は難しいが量の管理は容易であることから、ランチェスターは量を重視している。
ただし、長時間勤務を奨めているわけではない。量の向上は(28)のように取り組む。

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(28)営業担当者攻撃量の法則

営業担当者の攻撃量=商談時間×商談回数(頻度)。
一商談あたりの時間と商談した回数が攻撃量。時間は質的な側面を、回数は量的な側面を示す。
ルートセールス型であれば回数・頻度を特に重視。重点顧客においてライバルに訪問回数で遅れをとってはならない。

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(29)新規開拓候補先の選定基準

新規開拓候補先の選定基準は弱者の場合、一騎討ち戦で戦うべく、仕入れ先数が一社しかない先(オンリー顧客という)を狙う。
一社独占しているオンリー顧客はとりくつ島がないと考えがちだが、一社独占は不健全であり他も試したいと発注側は考えるもの。
ライバルが一社であれば勝つか負けるかは五分五分。既存納入者に差別化すれば取引口座開設も十分に可能。強者の場合、需要が大きい順に狙えばよい。
強者とは地域の業界トップ。
1位はそれだけで宣伝材料であり説得材料である。
競合数が多ければ確率戦なので強者に有利。

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(30)新規開拓4ステップアプローチ法

新規開拓は(1)アプローチ (2)ヒアリング (3)プレゼンテーション (4)クロージング の4つのステップで進める。
1ステップを1面談で進めば、4回目に判定できる。
顧客ニーズもわからず、顧客との信頼関係もなく売り込んでも契約販売は困難だからステップで進める。
さらにニーズといっても顧客が表明する顕在化されたニーズにのみ対応していても満足は得られない。
潜在化している真の顧客ニーズを引き出さない限り、満足も信頼も得られない。
ゆえに(2)ヒアリングが最も大切なステップとなる。

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