ランチェスターの法則とは何か、どのように学ぶべきか、実践するとどうなるのか。ランチェスター戦略コンサルタントが解りやすく解説します。

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「小」が「大」に勝つ、弱者逆転を使命としてランチェスター戦略を基盤とした営業戦略づくりを指導 するコンサルタントの福永雅文です。
戦略の原理原則を説く戦略定石として多くの企業が自社に応用して取り入れてきたことから「販売戦略・営業戦略・競争戦略のバイブル」といわれる

・ランチェスター戦略とは何か、どう学ぶか
・自社の戦略づくりに活かすにはどうすればよいか
・それを支援する福永雅文とは何者か

戦国マーケティング株式会社代表
特定非営利活動法人ランチェスター協会常務理事研修部長(非常勤)
ランチェスター戦略学会常任幹事(非常勤)
の福永雅文がわかりやすく解説します。

このブログは当社代表の福永が、コンサルティング活動をするなかで、感じたこと、考えたこと、学んだことを書いていきます。お手伝いしている企業の成果を上げていくためのコンサルタントの頭の中身、いわば「ネタ帳」です。結果として、ランチェスター戦略理論と、その実効性を強化することになります。お役に立てば幸いです。


「価格で負けた」は、もうやめよう

  2016年09月26日


コンサルティングや、研修のフォローアップで、お手伝い先企業の営業管理者や担当者から営業報告をお聞きする機会がよくある。 その際、失注やシェアダウンの理由もお聞きする。 「価格で負けた。わが社では提示できない安い価格を他社…

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カープ優勝にみる一体感のあるチーム

  2016年09月12日


広島東洋カープが25年ぶりにセリーグで優勝した。 6チームのリーグ制なので、平均すれば6年に一回は優勝できるはず。 なのに、四半世紀もの長きに渡り低迷し、優勝から見放されていたチームが突然、ぶっちぎりの優勝を果たしたのは…

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弱者がミートしてよい場合

  2016年08月24日


弱者の基本戦略は差別化である。強者の基本戦略はミート(弱者の差別化を無効化する模倣など)である。 弱者なのに強者のマネをして勝ったためしはない。 ランチェスター戦略の大原則である。ただし、「原則」とは多くの場合に当てはま…

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10分でわかる! 競争戦略のバイブル「ランチェスター戦略」

はじめに

ランチェスター戦略とは、企業間の営業・販売競争に勝ち残るための理論と実務の体系です。

第一章ではランチェスター戦略の成り立ちと、その原点であるランチェスター法則に触れた上で、そこから導き出さ れた「弱者の戦略、強者の戦略」について解説します。

第二章では「市場シェア理論」と、その元となったクープマンモデルを、第三章では「ナンバーワン主義」をはじめとするランチェスター戦略の三つの結論を、そし て第四章では四つの実務体系についてダイジェストで解説します。

第1章 ランチェスター法則と弱者の戦略、強者の戦略

1.ランチェスター戦略を構築した故田岡信夫先生

1970 年代前半、オイルショックが起こり、それまでの高度経済成長期から一転して日本は不況となります。
市場縮小期に、企業はどうやって勝ち残るのか。
コンサルタントの草分けの故田岡信夫先生(1927 ~ 1984)は、 それまでのスピード勝負、体力勝負によらない、科学的・論理的な経営戦略・営業戦略が求められると考えました。
成熟市場で企業がいかにサバイバルするかを指導するのがランチェスター戦略です。
取り入れた企業は大 不況を乗り越え、今日も繁栄しています。
トヨタ、パナソニック、日本生命、武田薬品などの大企業、ソフトバンク、 エイチアイエス、フォーバルなど当時のベンチャー企業、そして多くの中小企業。
数多くの実績と、後進のコンサルタントやマーケッターへ多大な影響をもたらしたことから、ランチェスター戦略は日本において競争戦略・ 販売戦略のバイブルといわれています。

福永コメント
海外旅行総客数 1 位のエイチアイエスの創業者で現会長の澤田秀雄氏は、2015 年に、 志の高い若い経営者を養成する「澤田経営道場」を立ち上げました。
澤田氏は自らが創業時 に学んだランチェスター戦略を同道場の教育カリキュラムに取り入れます。私が講師をして います。
2.ランチェスター戦略の成り立ち

日本で生まれた競争戦略ですが、カタカナの名前がついているのは、「ランチェスター法則」という戦争理論が、その原点だからです。
ランチェスター法則は、イギリス人の航空工学の研究者F.W.ランチェスター (1868~1946)が第一次世界大戦のとき提唱した「戦闘の法則」です。
兵隊や戦闘機や戦車などの兵力数と武器の性能が戦闘力を決定づけるというものです。

ランチェスター法則は第二次世界大戦中、米国海軍作戦研究班で研究されます。
コロンビア大学の数学 教授B.O.クープマンらが応用し、「戦争の法則」に発展させます。
「クープマンモデル(ランチェスター戦 略方程式ともいう)」と呼ばれます。
戦争の作戦研究(オペレーションズ・リサーチ)は戦後、数学的・統 計的な意思決定の方法として研究され、産業界にも広く活用されています。

故田岡先生は 1962 年、社会統計学者の斧田大公望先生とクープマンモデルを解析し、市場シェアの3 大目標数値を導き出しました。
その後、研究と実務指導を重ね、1972 年に著書「ランチェスター販売戦略」を出版。ランチェスター戦略は普及していきます。

福永コメント
故田岡先生の遺志を受け継ぐのが特定非営利活動法人ランチェスター協会です。
私は同会で これを学び、1999 年にコンサルタント会社を創業。
ランチェスター戦略を指導原理にした「ラ ンチェスター戦略コンサルタント」として企業の戦略づくりとその推進をお手伝いしています。
同時に、同会では 2005 年に理事・研修部長(12 年常務)に就任し、後進のコンサルタ ントの育成にもあたっています。
3.勝ち負けのルール~ランチェスター法則

ランチェスター法則は戦闘の勝敗を示す軍事理論です。
軍隊の強さ・力を示す戦闘力は武器と兵力数で 決まるというものです。
武器は敵と味方の武器の性能や腕前を比率化した武器効率で捉えます。
敵の2倍の 性能の武器で戦えば味方の武器効率は2です。
敵が味方の2倍の腕前なら味方の武器効率は 0.5 です。
兵力数は兵士や戦車や戦闘機の数です。
物量です。
武器効率と兵力数を掛け合わせたものが軍隊の戦闘 力です。

法則は二つあります。
それは戦い方によるものです。

■ 勝ち負けのルール

4.ランチェスター第一法則

一対一が戦う一騎討ち戦、狭い範囲で(局地戦)、敵と近づいて戦う(接近戦)原始的な戦いの場合 は第一法則が適用します。
第一法則の結論は次の通りです。

戦闘力=武器効率 × 兵力数

実にシンプルな法則です。
同じ兵力数なら武器効率が高いほうが勝ち、同じ武器効率なら兵力数が多い ほうが勝ちます。
織田信長は鉄砲という最新兵器で勝ちました。
豊臣秀吉は常に敵の数倍の兵力数で勝ちました。
敵に勝つには敵を上回る武器か兵力数を用意すればよいのです。

5.ランチェスター第二法則

近代的な戦いの場合に適用するルールをランチェスター第二法則といいます。
集団が同時に複数の敵に攻撃をすることのできる近代兵器(確率兵器という)を使って戦う戦闘方法を確 率戦といいます。
第二法則が適用される戦闘は確率戦で、広い範囲で(広域戦)、敵と離れて戦う(遠隔戦) 場合です。
マシンガンを撃ち合う集団戦をイメージしてください。
第二法則の結論は次の通りです。

戦闘力=武器効率 × 兵力数の2乗

出てくる言葉は第一法則と同じです。
違いは兵力数が2乗となることです。
武器効率は変わりません。
確率戦は相乗効果をあげるから兵力数が2乗に作用するのです。

2乗とは 10 なら 100、100 なら 10,000 です。
とてつもなく大きくなります。
兵力が多いほうが圧倒的に有利です。
兵力の少ない軍は第二法則が適用する戦いでは勝つことは極めて困難です。

福永コメント

第一法則:戦闘力=武器効率×兵力数、第二法則:戦闘力=武器効率×兵力数の2乗は、それぞれの結論を示しています。
これには公式があり、公式を知れば、なぜ第二法則では2乗倍するのかが理解が深まります。
拙著ではどの本でも図版を入れて解説しています。たとえば、下記をご覧になるとよいでしょう。
世界一わかりやすいランチェスター戦略の授業 54ページと59ページ

そうはいっても、第二法則は本当に当てはまるのか? と感じる方もいらっしゃるでしょう。私は2015年7月、NHKのテレビ番組でこれを実証する実験を監修しました。ご興味あれば、下記の拙著でご確認ください。同書では実験結果より、織田信長の鉄砲隊はランチェスター第二法則の戦い方をしたことを提唱しています。
ランチェスターの法則で読み解く 真田三代 弱者の戦略 226ページ~233ページ

6.小が大に勝つ3原則

第一法則(一騎討ち戦、局地戦、接近戦)……戦闘力=武器効率×兵力数
第二法則(確率戦、広域戦、遠隔戦)……戦闘力=武器効率×兵力数の2乗

この二つの軍事法則から勝ち方の原則を導きだせます。
まず兵力数が多い軍は常に有利です。
特に第二法則が適用する戦いでは兵力数が2乗に作用しますから、圧倒的に有利です。

では、小が大に勝つにはどうすればよいでしょうか。
第二法則適用下の戦いでは歯が立ちません。
第一法則適用下であれば、武器効率を兵力の比以上に高めれば勝てます。
兵力数は増やせませんが、運用方法には工夫の余地があります。
局地戦に持ち込み、兵力を集中させれば、その局面においては兵力数をライバルよりも多くできます。
軍事用語で局所優勢といいます。
局所優勢の状況を維持して各個撃破していくのです。
つまり、ランチェスター法則から導き出される小が大に勝つ原則は以下の3つです。

①奇襲の原則(ランチェスター第一法則が適用する一騎討ち戦、局地戦、接近戦といったゲリラ戦で戦う)
②武器の原則(武器効率を兵力比以上に高める)
③集中の原則(局所優勢となるよう兵力を集中し、各個撃破する)

福永コメント

下記の拙著では、ランチェスター法則に加えて、「孫子の兵法」から小が大に勝つ原則を導き出しました。

①奇襲の原則、③集中の原則は一致しました。
孫子では②武器の原則は強調されていません(ただし、士気や勢いの重要性は強調されている)。
また、ランチェスター法則からは直接的には読みとれない④機動の原則を孫子では強調されています。風林火山ですね。

したがって、ランチェスター+孫子とすると、小が大に勝つ四原則となります。
①奇襲の原則、②武器の原則、③集中の原則、④機動の原則。
ランチェスターの法則で読み解く 真田三代 弱者の戦略 28ページ~38ページ

7.ランチェスター法則をビジネスに応用する

軍事理論のランチェスター法則を企業間競争に応用します。
戦闘力を、顧客を開拓し売上を上げ利益を確保する「営業力」と置き換えます。

第一法則(一騎討ち戦、局地戦、接近戦)……営業力=武器効率×兵力数
第二法則(確率戦、広域戦、遠隔戦)……営業力=武器効率×兵力数の2乗

まず、大きく捉えるなら武器は商品力、兵力は販売力です。
細かくは、情報力、技術開発力、品質や性能、ブランドなどの製品の付加価値、顧客対応力、営業パーソンのスキルなどの質的経営資源が武器です。
社員数、営業パーソン数、販売代理店の当社担当者数、製造現場の設備機器数、売り場面積、席数など、量的経営資源が兵力です。
これら質的経営資源と量的経営資源を掛け合わせたものが企業の営業力を決定づけます。

戦闘における第一、第二の法則はビジネスにどう応用できるでしょうか。
大きく捉えるなら、特定の商品、地域、販路、顧客層、顧客といった部分的な競争なら第一法則が適用し、総合的・全体的な競争なら第二法則が適用します。
総合的・全体的な競争の場合、量的経営資源が2乗のパワーとなることを意味します。
量的経営資源の乏しい(小さい会社、業界二番手以下の会社)は、部分的な競争に持ち込まなければ勝ち目はないということです。

福永コメント

私が「ランチェスター戦略コンサルタント」と名乗っているのは、このためです。
大手のコンサルティング会社と同じように総合的なメニューを打ち出しても太刀打ち困難です。
得意分野に絞り込んでいるから成り立つのです。
大手が百貨店型なら、当社は専門店(ブティック)型のコンサルティング会社です。

8.弱者の戦略、強者の戦略

ランチェスター法則が示す小が大に勝つ三つの原則から弱者の戦略が導き出されました。
弱者の基本戦略は「差別化戦略」です。武器効率を高めることです。
差別化とは商品をはじめ、会社、人材、情報、サービスの質的な独自性、優位性です。

兵力を集中することを「一点集中主義」といいます。
重点や集中という言葉も、一般によく使われていますが、ランチェスター戦略の場合は、兵力数の優位性から導かれています。
つまり、量的な優位性を築くために、自社の経営資源を重点配分することが勘所(かんどころ)です。

このほか第一法則的な部分的な戦い方「局地戦(地域や領域の限定)」「接近戦(顧客に接近する販売経路、営業活動、顧客志向)」「一騎討ち戦(競合数の少ない競争)」「陽動戦(奇襲戦法)」が弱者の戦略です。

一方、兵力数の多い企業は第二法則的な総合的な戦いを行えば、圧勝できることから強者の戦略が導き出されました。
強者の基本戦略を「ミート戦略」といいます。
弱者の差別化戦略を封じ込める意味です。同質化競争に持ち込めば武器効率が同等となるので兵力数で勝敗が決まります。
模倣、追随、二番手作戦などをミートと呼んでいます。

このほか第二法則的な総合的な戦い方「誘導戦(先手必勝のおびき出し作戦、新たな需要の創造)」、「確率戦(競合数の多い競争を重視、フルラインの品揃え、自社系列内競合など自社の力を重複化させる)」、「広域戦(地域や領域を限定せず拡大していく)」「遠隔戦(間接販売会社の力を活用、広告などの情報発信で顧客に接近する前に勝敗をつける)」、「総合主義(総合力で戦うこと)」が強者の戦略です。

福永コメント

弱者の戦略のなかで私が差別化、集中とともに重視しているのが接近戦です。顧客のニーズを把握し、自社の差別化された強みを合致させていく接近戦です。
そのため、顧客接点の量的・質的優位性を築く必要があります。
商品の差が見出しにくいほど、接近戦が決め手となってきます。

弱者の戦略、強者の戦略については事例を知ることと、ご自身の経験したことや見聞したことを分析することで理解が深まります。
どの拙著でも数多くの事例をあげておりますが、たとえば下記がお奨めです。

世界一わかりやすいランチェスター戦略の授業 *大企業の事例が多い
ランチェスター戦略「小さなNo.1」企業 *中小企業の事例が多い

9.弱者と強者の定義

ランチェスター戦略は市場シェアを判断基準にして弱者と強者を定義づけます。
強者とは市場シェア1位企業であり、弱者とは2位以下のすべての企業を指します。

市場シェア1位の企業のみが強者です。
経営規模の大小ではありません。そして、この判断は競合局面ごとにします。
商品・地域・販売経路・客層・顧客の別に分析しなければなりません。
個々にみていく理由は、弱者と強者とではとるべき戦略が180度違うからです。

市場シェア情報も乏しく自分が弱者か強者かの見極めが困難な会社もあるでしょう。
迷ったら、弱者だと判断してください。
自社調べでは自社が実態以上に大きくなりがちです。
また成長してきた新興企業は数字上強者になっていたとしても、老舗企業の格やイメージが顧客や世間に残っていますので弱者の戦略をとるべきです。
強者は弱者の戦略をとっても成り立ちますが、弱者が強者の戦略をとるのは根本的な間違いを犯すことになることからも、「迷ったら弱者」です。

弱者・強者は市場シェアで判断します。市場シェアは何%とるべきなのか、他社との差は何を意味するのか、次の第2章で解説します。